製薬会社にとって空調設備は非常に重要です。例えば生産室の室温が規定の範囲から外れるとその時に生産したものは薬品として出荷できなくなります。
このため空調機には手厚い保全を実施しています。
- 6か月ごとに空調機整備の専門会社に全機器を点検してもらう(目視と聴音)
- 空調機整備の整備会社は過去の整備実績と合わせ要整備リストを作成
- 要整備リストに基づいて整備を計画・実施(ほとんどの整備は休日に実施)
ここで問題なのは、整備要否を聴音に頼っていることです。絶対に見落としは許されない状況なので専門会社は少しでも気になるものはリストに挙げることになります。また「最近整備していないから整備しておきましょう。」とリストに入れるケースもあります。その結果不要な整備が実施され修繕費を圧迫し休日出勤も発生していました。
このリストは2023年下期の要整備リストです。
要整備が7台リストアップされたので振動のトレンドを確認しました。確かに「空調機1」は振動が上昇していました。なお整備後は振動の上昇傾向がなくなった事も見て取れます。
これに対して空調機2~7には振動の上昇傾向が認められませんでした。この6台については現地で聴音して問題なしと判断して整備を取りやめました。その結果173万円の工事費と数日の休日出勤を削減できました。
その後、整備会社にSCOPEを公開してから2024年度上期の点検を実施してもらったところ要整備は1台のみとなりました。つまり定量的な(精度の高い)劣化把握が出来なかったため無駄な整備を実施しており振動管理の導入でこの無駄をなくすことができたと言えます。
SCOPEの実績<修繕費の削減>