常時監視(モニタリング)と分析(FFT)の併用

設備保全の現場では、「常時監視」と「詳細診断」を混同して語られることが少なくありません。

しかし、CBM(状態基準保全)を実運用として成立させるためには、

この2つを明確に役割分担することが重要です。

私たちはまず、SCOPEによる常時監視で異常兆候を捉え、その後、必要なタイミングで FFT(高速フーリエ変換)による精密診断を行います。

この「常時監視 → 精密診断」という流れを取ることで確実なCBMを実現できます。

FFTとは

FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)は、振動信号を“周波数 × 強度”のスペクトルに変換する手法です。これにより、振動の中に含まれる特徴的な周波数成分が明確になり、損傷の有無・程度・部位 を推定できます。

FFTで分かること

  • ピークの有無 → 損傷の有無がわかる
  • ピークの強度 → 損傷の進行度が“ある程度”わかる
  • ピーク周波数 → ベアリングの損傷部位が特定できる

損傷が進むと、特定周波数で突出したピークが現れ、強度も高くなります。下は外輪傷がある場合のスペクトルでノイズ成分が見えない程突出したピークが外輪傷とその整数倍に発生しています。最高強度は25(m/s^2)近くありました。

一方、正常時には、このような突出ピークはなく、全体の強度も低くなります。ノイズと大差ないピークで強度も0.2~0.3程度と上図と比較すると1/100程度でした。

ベアリングは「傷周波数」が幾何学的に決まる

ベアリングの場合、回転数と型式が分かれば「内輪傷」「外輪傷」「転動体傷」の発生周波数は幾何学的に決まります。一般的なベアリングは、メーカーのサイトでBPFO/BPFI(傷周波数)を計算できます。この“理論値”と実際のFFTスペクトルのピークを照合すると、どの部位が損傷しているか を判断できます。(特に3万円台で購入できるコナンエアーが登場して気軽にFFTできるようになりました)

実例:FFTで検知 → 整備で外輪傷を確認

当社での実例では、SCOPEで 振動昇を検知後にコナンエアー(携帯FFT、3万円台〜)で外輪傷周波数のピークを確認整備で**外輪剥離(フレーキング)**を実際に確認という流れでした。

モータのプーリー側軸受を取替後に旧軸受を回収して内面を確認したところ傷が認められました。

この“予兆 → FFT診断 → 答え合わせ”の一連の流れが再現できると、CBM(状態基準保全)の確度が一気に高まります。

常時監視(モニタリング)と分析(FFT)の併用
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